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『茗荷谷の猫』(平凡社 2008/9)で知った、
木内昇(きうちのぼり)さんの、新刊です。
『漂砂のうたう』 木内昇 集英社 2010/9 (写真)
新刊、といっても、発行は去年の9月。
どんなんかなぁ〜と思っている間に、直木賞を受賞。
直木賞でもどんな賞でも、
受賞した作品って避けてしまう癖があってほとんど読まないのですが、
(昔は読んでいましたよ…昔は…)
なぜかどこかのタイミングで図書館に予約していたらしく、
(記憶が、ないんですねぇ…)
東京に戻ったこのタイミングで借りる順番が回ってきました。
昨日の午後、
久しぶりに予定のない時間ができたので、
軽い気持ちで読み出したら、すっかり捕まってしまいました。
ざらざらとした、
それでいて、ぬめぬめと湿った空気に覆われている、
お世辞にも気持ちがいいとは言えない、
そんな物語世界に絡め獲られ、抜け出せなくなってしまいました。
こういう読書は、
読みながら「やばいなぁ」と思います。
読了するまで現実世界には戻れないと、
これまでの読書体験でわかっているからです。
「やばいなぁ」と思いながら、
「まぁいいかっ」とも思いました。
夕食の献立は決めているし、食材も準備してあるし…。
でもやはり、
本をどうにか私から剥がして台所に立ち、
夕食の仕度をしているときも、
夕食を食べているときも、
私の半分は、
ざらついて、心の置き所のない世界に漂ったままでいました。
夕食後、再び本を開けば読み終わるまで眠れそうにありません。
どうしようかなぁ〜と思ったものの、
誘惑には勝てず、
というか、
もうずっと物語世界に獲られているのだから、
読まないわけにはいかないのです。けどね。。。
そんなわけで、一気読み!
読了直後は、しばし放心しました。
登場者たちのあれやこれやに思いを馳せました。
でも、最後の最後の場面が、
いつかどこかで読んだ物語(小説)のようだったので、
それがどの本だったのか考え出したたとたんに、
するすると、
私に絡まりついていた物語世界がほどけていきました。
そうですね。直木賞を受賞しているんでしたね。
読む前からもう、私だけの物語、ではなかったのだから、
あの世界が、あっという間にほどけて消えてしまっても、
いいかなっ。
と思い直して、
現実の、
この世界にひょんと戻ってまいりました。
でも、久々にどっぷりつかれた、やばくて好い読書でした!
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